青色申告ってよく聞くけど分からない方へ~法人税の青色申告について~

法人税の青色申告についてまとめました

青色申告ってよく聞いたり、見たりするけど、分からない、何となくわかった気でいる方がいると思います。

法令等も使い、まとめました。今回は、法人税についてまとめております。

ご興味がございましたら、最後までご覧ください。

 

青色申告の特典とは

青色申告法人には、以下のような各種の特典が設けられています。

(1)青色申告書を提出した事業年度に生じた欠損金の翌期以降の繰越
H28年度税制改正により、平成30年4月1日以後に開始する事業年度において生じた欠損金額の繰越期間は、10年とされています。

(2)欠損金の繰り戻しによる法人税額の還付

(3)帳簿書類の調査に基づく更正

(4)更正通知書への更正の理由附記

(5)推計による更正又は決定の禁止

(6)租税特別措置法に定める特別償却や割増償却、特別控除等

青色申告【徳島の税理士事務所】

青色申告書を提出するには

青色申告書を提出するには、税務署長から承認を受けなければいけません。

 

税務署から青色申告書を提出することについて、承認を受けるためには、

(1)「青色申告の承認申請書」を提出する

納税地の所轄税務署長に「青色申告の承認申請書」を提出しなければなりません。

書類については、税務署に問い合わせるか、国税庁のサイトから入手して下さい。

 

「青色申告の承認申請書」の提出期限は、

➀ 原則

青色申告の承認を受けようとする事業年度開始の日の前日

② 新設法人の場合

1)普通法人等(株式会社や合同会社)

設立の日以後3か月を経過した日と設立後最初の事業年度終了の日とのうち、いずれか早い日の前日

2)公益法人等、人格のない社団等

新たに収益事業を開始した日以後3か月を経過した日と収益事業を開始した事業年度終了の日とのうち、いずれか早い日の前日

 

(2)税務署から承認の有無の通知が来る

(※承認の場合には、通知が来ない場合が多いです)

期限までに通知が来ない場合には、承認されたとみなされます。

承認されたとみなされる期限は、青色申告の承認を受けようとする事業年度の終了の日までに通知がないとき

 

※中間申告をする法人は、その事業年度開始の日以後6か月を経過する日

 

青色申告書の備付帳簿

青色申告法人は法定の帳簿書類を備え付けて取引を記録し、かつ、保存しなければならない。

法定の帳簿書類とは

・仕訳帳、総勘定元帳その他の必要な帳簿

・棚卸表の作成

・貸借対照表、損益計算書など

 

帳簿書類の保存期間

法人税法では、帳簿書類を7年間保存することと規定されています。

しかし、会社法では、10年となりますので、10年間保存するようにして下さい。

 

(注)資産、負債及び資本に影響を及ぼす一切の取引を複式簿記の原則に従って、整然と、かつ、明りょうに記録し、これに基づいて決算を行うことが求められます。

 

(青色申告法人の帳簿書類)
第百二十六条 青色申告の承認を受けている内国法人は、財務省令で定めるところにより、帳簿書類を備え付けてこれにその取引を記録し、かつ、当該帳簿書類を保存しなければならない。
-法人税法より引用-

(会計帳簿の作成及び保存)
第四百三十二条 株式会社は、法務省令で定めるところにより、適時に、正確な会計帳簿を作成しなければならない。
2 株式会社は、会計帳簿の閉鎖の時から十年間、その会計帳簿及びその事業に関する重要な資料を保存しなければならない。
-会社法より引用-

(青色申告法人の決算)
第五十三条 青色申告法人は、その資産、負債及び資本に影響を及ぼす一切の取引につき、複式簿記の原則に従い、整然と、かつ、明りように記録し、その記録に基づいて決算を行なわなければならない。
(取引に関する帳簿及び記載事項)
第五十四条 青色申告法人は、全ての取引を仕訳帳、総勘定元帳その他必要な帳簿を備え、別表二十に定めるところにより、取引に関する事項を記載しなければならない。
(仕訳帳及び総勘定元帳の記載方法)
第五十五条 青色申告法人は、仕訳帳には、取引の発生順に、取引の年月日、内容、勘定科目及び金額を記載しなければならない。
2 青色申告法人は、総勘定元帳には、その勘定ごとに記載の年月日、相手方勘定科目及び金額を記載しなければならない。
(たな卸表の作成)
第五十六条 青色申告法人は、各事業年度終了の日において、商品又は製品、半製品、仕掛品、主要原材料、補助原材料、消耗品で貯蔵中のものその他これらの資産に準ずる資産のたな卸その他決算のために必要な事項の整理を行ない、その事績を明りように記録しなければならない。
2 前項に規定するたな卸については、たな卸表を作成し、たな卸資産の種類、品質及び型の異なるごとに数量、単価及び金額を記載しなければならない。この場合において、たな卸資産に付すべき単価は、たな卸資産の評価の方法に規定する評価の方法又はたな卸資産の特別な評価の方法の規定により税務署長の承認を受けた評価の方法のうち当該内国法人が選定した評価の方法より計算した価額を記載するものとする。
(貸借対照表及び損益計算書)
第五十七条 青色申告法人は、各事業年度終了の日現在において、その業種、業態及び規模等の実情により、おおむね別表二十一に掲げる科目に従い貸借対照表及び損益計算書を作成しなければならない。
(帳簿書類の整理保存)
第五十九条 青色申告法人は、次に掲げる帳簿書類を整理し、起算日から七年間、これを納税地に保存しなければならない。
一 取引に関する帳簿及び記載事項に規定する帳簿並びに当該青色申告法人の資産、負債及び資本に影響を及ぼす一切の取引に関して作成されたその他の帳簿
二 棚卸表、貸借対照表及び損益計算書並びに決算に関して作成されたその他の書類
三 取引に関して、相手方から受け取つた注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類及び自己の作成したこれらの書類でその写しのあるものはその写し
2 前項に規定する起算日とは、帳簿についてはその閉鎖の日の属する事業年度終了の日の翌日から二月を経過した日をいい、書類についてはその作成又は受領の日の属する事業年度終了の日の翌日から二月を経過した日をいう。
3 第一項各号に掲げる帳簿書類のうち次の表の各号の上欄に掲げるものについての当該各号の中欄に掲げる期間における同項の規定による保存については、当該各号の下欄に掲げる方法によることができる。

一 第一項第三号に掲げる書類(帳簿代用書類に該当するものを除く。)のうち国税庁長官が定めるもの前項に規定する起算日以後三年を経過した日から当該起算日以後五年を経過する日までの期間財務大臣の定める方法
二 第一項各号に掲げる帳簿書類前項に規定する起算日から五年を経過した日以後の期間財務大臣の定める方法

別表二十 青色申告書の提出の承認を受けようとする法人の帳簿の記載事項

区分記載事項備考
(一) 現金の出納に関する事項取引の年月日、事由、出納先及び金額並びに日々の残高 
(二) 当座預金の預入れ及び引出しに関する事項預金の口座別に、取引の年月日、事由、支払先及び金額 
(三) 手形(融通手形を除く。)上の債権債務に関する事項受取手形、支払手形別に、取引の年月日、事由、相手方及び金額 
(四) 売掛金(未収加工料その他売掛金と同様の性質を有するものを含む。)に関する事項売上先その他取引の相手方別に、取引の年月日、品名その他給付の内容、数量、単価及び金額 
(五) 買掛金(未払加工料その他買掛金と同様の性質を有するものを含む。)に関する事項仕入先その他取引の相手方別に、取引の年月日、品名その他受けた給付の内容、数量、単価及び金額 
(六) (二)から(五)までに掲げるもの以外の債権債務に関する事項>貸付金、借入金、預け金、預り金、仮払金、仮受金、未収入金、未払金等に、それぞれ適当な名称を付して区分し、それぞれ、その取引の年月日、事由、相手方及び金額 
(七) 有価証券(商品であるものを除く。)に関する事項取引の年月日、事由、相手方、銘柄、数量、単価及び金額 
(八) 減価償却資産に関する事項減価償却資産については、第十四条各号(償却の方法の選定の単位)に掲げる減価償却資産の区分に応じ当該各号に掲げる種類の区分(その種類につき耐用年数省令別表(第十九条第二項(種類等を同じくする減価償却資産の償却限度額)の規定の適用を受ける場合には、減価償却資産の耐用年数等に関する省令の一部を改正する省令(平成二十年財務省令第三十二号)による改正前の耐用年数省令別表)において構造若しくは用途又は細目が定められているものについては、その構造若しくは用途又は細目の区分とし、二以上の事業所又は船舶を有する法人で事業所又は船舶ごとに償却の方法を選定している場合にあつては、事業所又は船舶ごとのこれらの区分とする。)ごとに、かつ、耐用年数省令に定める耐用年数の異なるものについてはその異なるごとに区分し、それぞれ、その取引の年月日、事由、相手方、数量及び金額 
(九) 繰延資産に関する事項その種類ごとに区分し、それぞれ、その取引の年月日、事由及び金額 
(十) (一)から(四)まで及び(六)から(九)までに掲げるもの以外の資産(商品、製品、消耗品、その他棚卸しにより整理するものを除く。)に関する事項取引の年月日、事由、相手方、数量及び金額 
(十一) 売上げ(加工その他の役務の給付等売上げと同様の性質を有するものを含む。)に関する事項取引の年月日、売上先、品名その他給付の内容、数量、単価及び金額並びに日々の売上総額。ただし、小売その他これに類するものを行う法人の現金売上げで本文の規定により難いものについては、日々の現金売上げの総額並びに売上先又は売上先を記載し難いものについてはこれに代えて取引回数を記載し、品名その他給付の内容、数量、単価又は金額のうち、その記載し難いものを省略することができる。(1) 小売その他これに類するものを行う法人の現金売上げで中欄ただし書の規定にもより難いものについては、所轄税務署長の承認を受けた場合は、日々の現金売上げの総額のみを記載することができる。
(2) 二以上の事業所を有する法人の売上げで中欄本文の規定による売上総額を記載し難いものについては、一事業所ごとに、その事業所における売上総額を記載すれば足りる。
(十二) (十一)に掲げるもの以外の収入に関する事項受取利息、雑収入等に、それぞれ適当な名称を付して区分し、それぞれ、その取引の年月日、事由、相手方及び金額 
(十三) 仕入れに関する事項取引の年月日、仕入先その他の相手方、品名その他給付の内容、数量、単価及び金額並びに日々の仕入総額二以上の事業を有する法人の仕入れで中欄の規定による仕入総額を記載し難いものについては、一事業所ごとに、その事業所における仕入総額を記載すれば足りる。
(十四) (十三)に掲げるもの以外の経費に関する事項賃金、給料手当、法定福利費、厚生費、外注工賃、動力費、消耗品費、修繕費、減価償却費、繰延資産の償却費、地代家賃、保険料、旅費交通費、通信費、水道光熱費、手数料、倉敷料、荷造包装費、運搬費、広告宣伝費、公租公課、機密費、接待交際費、寄附金、利子割引料、雑費等に、それぞれ適当な名称を付して区分し、それぞれ、その取引の年月日、支払先、事由及び金額。ただし、少額の経費で本文の規定により難いものについては、それぞれその日々の合計金額のみを記載することができる。 

別表二十一 貸借対照表及び損益計算書に記載する科目
(一) 貸借対照表に記載する科目
資産の部
現金、当座預金、預金、受取手形、売掛金、未収入金、仮払金、貸付金、有価証券、商品、原材料、仕掛品、半製品、製品、貯蔵品、繰延税金資産、建物、構築物、機械及び装置、船舶、車両及び運搬具、工具、器具及び備品、土地、建設仮勘定、鉱業権、漁業権、ダム使用権、水利権、特許権、実用新案権、意匠権、商標権、ソフトウエア、育成者権、公共施設等運営権、営業権、専用側線利用権、鉄道軌道連絡通行施設利用権、電気ガス供給施設利用権、水道施設利用権、工業用水道施設利用権、電気通信施設利用権、借地権、繰延資産等

負債及び資本の部
支払手形、買掛金、未払金、未払税金、繰延税金負債、仮受金、借入金、貸倒引当金、返品調整引当金、海外投資等損失準備金、新事業開拓事業者投資損失準備金、金属鉱業等鉱害防止準備金、特定災害防止準備金、原子力発電施設解体準備金、特定原子力施設炉心等除去準備金、異常危険準備金、関西国際空港用地整備準備金、中部国際空港整備準備金、特別修繕準備金、探鉱準備金、海外探鉱準備金、農業経営基盤強化準備金、再投資等準備金、福島再開投資等準備金、資本金又は出資金、資本剰余金、利益剰余金、再評価積立金、再評価差額金、積立金等

(二) 損益計算書に記載する科目

利益の部
商品製品等売上高、期末商品製品原材料等棚卸高、雑収入、資産の売却益、資産の評価益、当期欠損金等
損失の部
商品製品原材料等仕入高、期首商品製品原材料等棚卸高、賃金、給料手当、法定福利費、厚生費、外注工賃、動力費、消耗品費、地代家賃、保険料、修繕費、減価償却費、繰延資産の償却費、旅費交通費、通信費、水道光熱費、手数料、倉敷料、荷造包装費、運搬費、広告宣伝費、公租公課、機密費、接待交際費、寄附金、利子割引料、雑費、資産の売却損、資産の評価損、貸倒引当金繰入額、返品調整引当金繰入額、海外投資等損失準備金積立額、新事業開拓事業者投資損失準備金積立額、金属鉱業等鉱害防止準備金積立額、特定災害防止準備金積立額、原子力発電施設解体準備金積立額、特定原子力施設炉心等除去準備金積立額、異常危険準備金積立額、関西国際空港用地整備準備金積立額、中部国際空港整備準備金積立額、特別修繕準備金積立額、探鉱準備金積立額、海外探鉱準備金積立額、農業経営基盤強化準備金積立額、再投資等準備金積立額、福島再開投資等準備金積立額、当期利益金等
-法人税法施行規則-

青色申告【徳島の税理士事務所】

まとめ

参考になりましたでしょうか。

 

法人の場合には、会社法により法定帳簿等を備えるため、青色申告について選択の有無について考えることは、あまりないと思います。

 

粉飾決算や確定申告書を提出期限までに提出できなかったなどの理由で、青色申告の承認の取消を受けることのないよう、ご注意ください。

第四百三十一条 株式会社の会計は、一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行に従うものとする。
-会社法より引用-
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