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成年後見人等養成研修を受けてきました

succo / Pixabay

先日、成年後見人等養成研修を3日間にわたって受けてきました。

民法を中心とした法律の話から脳の機能についての説明など、多岐にわたる講義内容となっておりました。

前回少し書きましたが、改めて後見人制度についてまとめてみました。

後見人制度について

新たな後見制度改革

禁治産及び準禁治産の制度下で以下のような問題点が出てきた。

第一に、わが国の急速な高齢化の発展に伴い、身上保護を必要とする人々が急増したことである。

第二に、国が社会福祉政策を「措置」から「契約」へと転換したことにより、高齢者及び知的障害者等の判断能力が不十分な者に対する保護の必要性が高まっている。

一方で、核家族化の進行により家庭による介護力が著しく低下し、地域社会としての支援体制を確立することが強く求められている。

第三に、国民の権利意識や、人権感覚が成熟してきたことがある。

第四に欧米諸国における成年後見制度改革の影響が挙げられる。

以上のような時代背景に後押しされ、新しい成年後見制度が2000 年4月1日よりスタートしている。

この新たな成年後見制度の目的は、「ノーマライゼイション」や「自己決定権の尊重」等の新しい理念と、本人保護の理念との調和を目指している。

成年後見制度について

成年後見制度は、大きく3 つの制度で構成されている。

法定後見制度では、以下の三つの類型に分け、対象者の範囲を広げ、本人の判断能力の内容に応じた支援を行い、成年後見人等の支援者は家庭裁判所が事案ごとに適任者を選任する制度である。

・判断能力が不十分な程度に応じた「後見」「保佐」
・軽度の判断能力の低下が見られる人を対象とした「補助」を新設

「任意後見制度」では、本人の判断能力が健常な段階で、契約によって、判断能力が低下した場合における後見事務の範囲や支援者をあらかじめ定めておくことができる制度である。

「法定後見制度」が、すでに本人が判断能力を欠いている場合に適用される制度であるのに対し、任意後見制度では、事前的な措置を自らが定めることを目的とした新しい制度である。

後見登記制度は、取引の安全性確保とブライバシー・個人情報の保護等を十分に確保する目的から、制度の利用に関する情報を「登記」することを義務付けるとともに、限定された者以外はその情報の入手を不可能とする新しい制度である。

法定後見制度の特徴

法定後見制度の特徴として、成年後見制度では、家庭裁判所が必要と認めたときは、成年後見人等の職務を監督するものを選任できる旨の規定を設けており、監督人に個人、法人いずれも可能となっている。

成年後見人に対しては家庭裁判所が指導、監督を行いますが、本人の財産が巨額で、より細かな監督が必要な場合や、成年後見人に対しての助言等が必要な場合には成年後見監督人を選任することにより、より安全性が担保される。

任意後見制度の特徴

任意後見制度の特徴は、「自己決定権の尊重」です。

・将来の認知症などによる判断能力の低下に備え、自らの意思で信頼の置ける親族や専門家を成年後見人として支援の範囲を事前に決めることができる。

・法務省令で定める様式によ公正証書を作成し、その契約内容を登記することにより信頼性の確保が可能となっている。

税理士の関わりと課題について

税理士制度においては、税理士法において高潔な倫理観と高度な専門性が求められており、その職務を活用して社会への貢献が期待されている。

成年後見制度は、本人の現有能力の活用及び自己決定権の尊重、そして障害者との共生を目指すノーマライゼイションといった、新しい理念との調和を基本としつつ、社会全体が高齢者等の保護に取り組むことを求めている。

成年後見人等及び任意後見人の職務には、財産管理と身上監護があり、また成年後見監督人及び任意後見監督人の職務は、各支援者が行う事務のチェック、確認、実査、検証等の監督事務と各支援者に対する事務指導がある。

まず、財産管理の場合、各支援者が行う職務は、本人の財産目録の作成あるいは確認から始まるものであり、本人に帰属する経済的価値を有する全ての財産の一定の時期における有り高の把握や、その実在性の確認が重要となる。

次にこれらの財産の増減に影響を及ぼす行為等について、各支援者が行える範囲の代理、同意、取消の各権利を行使し、その経過及び結果について記録、計算し、証憑の保存を行う。

それらを一定期間ごとに集約し、必要な事項について定期的あるいは随時の報告を、家庭裁判所等に行う。

これらは、税理士にとっては、基本的な業務であり、特に財産管理業務においては税理士の職能としての専門性を遺憾なく発揮することができると考えられる。

他方、身上監護の職務については、社会生活を送る人間を支える行為として認識されるものであり、税理士の業務とは異質な側面を有するものであるため、地域とのネットワークの活用やこれらの分野に関する研修及び各士業との連携を考えるべきである。

また、成年後見制度の環境整備が必要である。

例えば、研修の充実、責任保険の整備・充実、後見制度に関する所得保障のための助成金の創設、地域ネットワークや他士業との連携が挙げられる。