Kitai tax accounting office

起業・創業する前に考えること~個人事業主ではじめるか、会社を設立するか~

個人事業として始めますか?会社で始めますか?

起業・創業を考えられている方にとって、個人事業主として事業を開始するか、会社を設立して事業を開始するか迷うところです。

それぞれのメリットを考えながら、最適な選択をして下さい。

個人事業主として開業するメリット

個人事業主として開業する場合には、以下のようなメリットがあります。

(1)開業の手続きが簡単である

会社を設立する場合には、「定款」の作成や資本の払込み、公証人による定款の認証、法務局への登記手続きなどを行わなければいけません。また、登録免許税や手数料などの支払いもあります。

その後、税務署や公共団体への届出書の提出など複数の手続きがあり、相当の期間が必要です。

一方、個人事業主として開業する場合には、税務署に「個人事業の開廃業等届出書」、都道府県税事務所と市区町村役場に「事業開始等申告書」を提出するだけで、事業を始めることができます。

※許認可の必要な事業については、開業までに許認可も手続きが必要な場合があります。

(2)開業後も手続きが簡単である

会社を設立した場合には、会社法の計算規則に基づき、複式簿記による経理を行います。また、役員の任期満了時や重要な事項を決定する場合には株主総会等を開催し、決議事項を議事録に残さないといけません。また、法務局への登記などの費用も発生します。

また、会社を解散するときは、清算の手続きが必要となります。

一方、個人事業主として開業した場合には、株主総会等の開催も、清算の手続きもありません。経理方法も、より簡単な方法を選択することもできます。

(3)均等割の違い

個人事業主の場合には、所得税等を納めることになります。

会社の場合には、会社に対しては、法人税等、役員報酬に対しては、所得税等を納めることとなります。会社の場合には、赤字であっても、法人住民税の均等割を納めなければいけません。

(4)健康保険・厚生年金の従業員負担が不要

会社の場合には、健康保険・厚生年金に強制的に加入しなければいけません。また、従業員の健康保険・厚生年金の半分を会社が負担しなければいけません。

個人事業の場合には、適用業種であれば5人以上の従業員を雇用している場合に、健康保険・厚生年金に加入しなければいけません。

会社を設立して開業するメリット

会社を設立して開業する場合には、以下のようなメリットがあります。

(1)利益を追求することが会社の目的となる

個人事業の場合には、生計維持のための性格もありますが、会社の目的は、利益・利潤を生むこととなります。従って、無償の取引は、基本的にないということです。

(2)出資の範囲内で責任を負う

個人事業主の場合には、事業主は、債権者に対して無限の責任を負うことになります。

しかし、会社の場合には、株主が、出資した額を限度として、債権者に対して責任を負うこととなります。

(3)税金面で有利になる場合がある

所得税等は、所得(≒利益)が増えるにつれて、税率が高くなります。一方、法人税等は、基本的に所得(≒利益)に関わらず、税率は一定です。つまり、一定以上の所得(≒利益)を超えると、法人税等が所得税等より少なくなります。

個人事業で青色申告を提出している場合には、過去3年間の赤字しか繰り越すことはできませんが、青色申告を提出する会社の場合には過去9年間の赤字を繰り越すことができます。

(4)健康保険・厚生年金に加入できる

(5)経費処理できる範囲が広がる

個人事業の場合には、事業主の退職金は基本的に経費にできません。しかし、会社の場合には、退職金を経費とすることができます。

また、保険料についても、個人事業の場合には、一部の保険しか、経費にすることができません。会社の場合には、法人名義とすることで、一定の保険料について、経費とすることができます。

まとめ

上記のように個人事業で開業する場合、会社を設立して開業する場合、それぞれメリットやデメリットがあります。

どちらを選択するかは、設立のメンバーや出資者、事業の種類などを総合的に考えなければなりません。

税金だけにフォーカスし、消費税の課税事業者になるタイミングだけで考えてみます。

最初、個人事業主で開業し、売上が1000万円を超えた翌年に会社の設立します。その場合には、消費税の課税事業者になる期間を延ばすことができます。

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