個人事業の開業届出の書き方で迷わないで下さい~住所地?居所地?事業所等?~

 

住所地と居住地と事業所等の違いって??

個人事業を開業する場合には、税務署へいろいろな届出書を提出しなければなりません。

 

個人事業の開業時に提出する書類

個人事業を開業した場合には、下記のような書類を提出することになります。

・個人事業の開廃業等届出書

・所得税の青色申告承認申請届出書

・青色事業専従者給与に関する届出書

・所得税のたな卸資産の評価方法・減価償却資産の償却方法の届出書

 

その中でも、すべての方が提出しなければならないのは、「個人事業の開廃業等届出書」です。

 

個人事業の開廃業等届出書の書き方

まず、悩むのは、「納税地」の欄ではないでしょうか。

自宅で開業する場合には、悩むことはないかもしれませんが、事務所を借りて開業する場合には、悩むことだと思います。

なぜなら、「住所地」と「居住地」「事業所等」を選択しなければいけないからです。

「住所地」「居所地」「事業所等」の選択

どれを選択するのか、難しいですよね。

 

法律できちんと定められているんです。

原則としては、下記のようにして、納税地を決めることになります。

といっても、

納税地は、「住所地」となる場合が多いです。

 

というのも、まず、国内に住所を有する場合には、住所地が納税地となります。

「住所」とは、生活の拠点で、必ずしも住民登録している場所とは限りません。

国内に住所地を有しない場合には、居所地や事務所等などが納税地となるからです。

(納税地)
第一五条 所得税の納税地は、納税義務者が次の各号に掲げる場合のいずれに該当するかに応じ当該各号に掲げる場所とする。
一 国内に住所を有する場合 その住所地
二 国内に住所を有せず、居所を有する場合 その居所地
三 前二号に掲げる場合を除き、第百六十四条第一項第一号から第三号まで(国内に恒久的施設を有する非居住者)に掲げる非居住者に該当する場合 その国内において行なる事業に係る事務所、事業所その他これらに準ずるものの所在地(これらが二以上ある場合には、主たるものの所有地)
四 第一号又は第二号の規定により納税地を定められていた者が国内に住所及び居所を有しないこととなつた場合において、その者がその有しないこととなつた時に前号に規定する事業に係る事務所、事業所その他これらに準ずるものを有せず、かつ、その納税地とされていた場所にその者の親族その他その者と特殊の関係を有する者として政令で定める者が引き続き、又はその者に代わつて居住しているとき。 その納税地とされていた場所
五 前各号に掲げる場合を除き、第百六十一条第三号(不動産の貸付け等の対価)に掲げる対価(船舶又は航空機の貸付けによるものを除く。)を受ける場合 当該対価に係る資産の所在地(その資産が二以上ある場合には、主たる資産の所在地)
六 前各号に掲げる場合以外の場合 政令で定める場所

 

住所地以外を納税地にするには

ただし、どうしても住所地以外を納税地にしたい場合には、納税地の特例があります。

事務所等を納税地としたい場合には、変更前の納税地の税務署長に「所得税・消費税の納税地の変更に関する届出書」を提出することとなります。

(納税地の特例)
第一六条 国内に住所のほか居所を有する納税義務者(第十八条第一項(納税地の指定)の規定により納税地の指定を受けている納税義務者を除く。次項において同じ。)は、前条第一号の規定にかかわらず、その住所地に代え、その居所地を納税地とすることができる。
2 国内に住所又は居所を有し、かつ、その住所地又は居所地以外の場所にその営む事業に係る事業場その他これに準ずるもの(以下この条において「事業場等」という。)を有する納税義務者は、前条第一号又は第二号の規定にかかわらず、その住所地又は居所地に代え、その事業場等の所在地(その事業場等が二以上ある場合には、これらのうち主たる事業場等の所在地、以下この条において同じ。)を納税地とすることができる。
3 第一項の規定の適用を受けようとする者は、その住所地の所轄税務署長及びその居所地の所轄税務署長に対し、その住所地及び居所地、その居所地を納税地とすることを便宜とする事情その他財務省令で定める事項を記載した書類を提出しなければならない。この場合において、当該書類の提出があつたときは、その提出があつた日後における納税地は、その居所地とする。
4 第二項の規定の適用を受けようとする者は、その納税地とされている住所地又は居所地の所轄税務署長及びその事業場等の所在地の所轄税務署長に対し、その住所地又は居所地及び事業場等の所在地、その事業場等の所在地を納税地とすることを便宜とする事情その他財務省令で定める事項を記載した書類を提出しなければならない。この場合においては、前項後段の規定を準用する。
5 第一項又は第二項の規定により居所地又は事業場等の所在地を納税地としている者は、これらの規定の適用を受ける必要がなくなつた場合において、その納税地の所轄税務署長及び住所地(第二項の規定により事業場等の所在地を納税地としている者で住所地を有していない者については、居住地。以下この項において同じ。)の所轄税務署長に対し、その旨及び当該納税地その他財務省令で定める事項を記載した書類を提出したときは、その提出があつた日後における納税地は、その住所地とする。
6 納税義務者が死亡した場合には、その死亡した者に係る所得税の納税地は、その相続人に係る所得税の納税地によらず、その死亡当事におけるその死亡した者に係る所得税の納税地とする。

まとめ

参考になりましたでしょうか。

 

納税地の選択で迷ってしまい、「個人事業の開廃業届出書」を作成するのをやめることのないようにご注意ください。

開業届出書は、事業を行っていることの証として、公共機関や金融機関などへの提出を求められることもございます。

提出の際には、必ず税務署の受付印の押された「控」をもらうようにして下さい