決算月の変更について

経営者
大きな受注が取れて、利益が増えそうなんだけど
当事務所
いいことですね、でも、資金繰りを考えるときつくなりますよ

経営者
税金も増えるし

当事務所
決算月を変更して、税金対策をしっかりしましょう

 

決算月の変更について

決算月の変更は、意外と簡単にできてしまいます。

 

決算月を変更に必要な手続き

まず、会社を設立するときには、公証人の認証や登記の申請が必要となります。

また、役員変更・目的の変更など場合には、登記の申請が必要になります。

しかし、決算月の変更に関しては、公証人の認証や登記の申請は必要ありません

 

ただ、やるべきことは、

(1)定款の変更

(2)臨時株主総会の開催及び議事録の作成

(3)税務署へ届出

(4)都道府県税事務所、市町村への届出

のみで完了します。

 

(1)定款の変更

定款に下記のような条文があれば、変更することとなります。

(事業年度)
第○条 当会社の事業年度は毎年○月○日から△月△日までの年一期とする。

(2)臨時株主総会の開催及び議事録の作成

上記(1)の定款の変更について、臨時株主総会を開催し、議事録を作成する必要があります。

 

(3)税務署へ届出

税務署へ「異動届出書」を提出する必要があります。

異動事項として、決算月の変更の旨を記載することとなります。

税務署に提出する、異動届出書は国税庁のサイトから入手できます。

 

(4)都道府県税事務所、市町村への届出

(3)と同様に、都道府県税事務所と市町村にも「異動届出書」を提出する必要があります。

都道府県税事務所、市町村の「異動届出書」については、それぞれのHP又は直接お問い合わせ下さい。

決算月変更による効果

決算月を変更することにより、効果として以下のようなことが考えられます。

(1)利益を翌事業年度以降に繰り延べることができます。

利益を翌事業年度以降に繰り延べることで、節税対策や納税対策、投資計画などを考える期間を作ることができます。

節税対策については、一時的な節税だけでなく、数年間にわたってできる節税もあります。

しかし、どの節税対策に取り組むかは、会社の方針や計画をしっかり立てた上で、検討する必要があります。

また、節税対策を行うにも一定の期間が必要になりますので、早めの対応が必須となります。

 

(2)税率の変更によるメリットを享受することができます。

法人税等の税率が低くなった場合には、決算月を変更することにより、メリットを受けることができます。逆に税率が高くなった場合には、デメリットとなります。

税率の変更については、決算月を変更する前に検討する必要があります。

 

その他にも、

(3)決算書を良く見せることができます。

決算書を良く見せると書くと、粉飾や不正などを考えられるかもしれませんが、そうではなく、正しい会計処理に基づいて作成した決算書です。

例えば、入金の多い月を決算月にすることで、現預金の額が増えます。

長期にわたる工事などを行っている会社で、工事進行基準を適用していない場合などは、完成が増える月を決算月とすることで、売掛金が増えます。

上記のようなことをすることで、経営分析の数値も改善し、融資などでもメリットを得られることもあります。

 

 

まとめ

参考になりましたでしょうか。

 

決算月の変更は、正しい処理であり、節税方法としても有効です。

最近では、3月決算の企業の割合も減少しており、改めて決算月について検討されてはいかがでしょうか。

 

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