消費税の納税義務者
事業を行っている個人事業者や会社は、基本的には消費税等を納める義務があります。
しかし、売上が少ないなどの理由により、消費税の納税義務を免除される場合があります。
免除される場合とはどのような場合なのか
消費税の納税義務が免除されるかどうかは、次の(1)から(3)により判定することとなります。
(1)基準期間における課税売上高で判定
基準期間における課税売上高が、1000万円以下である場合には、消費税の納税義務が免除されます。
基準期間とは
基準期間とは、個人事業者と会社では異なります。
個人事業者の場合は、その年の前々年(2年前)となります。
会社の場合には、通常、事業年度は1年である場合には、その事業年度の前々事業年度(2期前)となります。
※会社の場合には、前々事業年度が1年未満の場合には、課税売上高は1年換算して計算することになります。
つまり、
個人事業者の場合には、その年の課税売上高が1000万円以下なら、翌々年は消費税の納税義務が免除される。
会社の場合には、その期の課税売上高が1000万円以下なら、翌々期は消費税の納税義務が免除される。
ということです。
(2)課税事業者選択の届出を提出をしていない又はその効力がない
消費税の納税義務が免除される場合でも、消費税の還付を受けることなどを目的に、課税事業者を選択することができます。
その場合には、「消費税課税事業者選択届出書」を税務署長に提出し、提出した翌年又は翌期から消費税の納税義務者となることができます。
「消費税課税事業者選択届出書」を提出している場合には、その届出が効力を有するため、(1)により納税義務が免除される場合でも、納税義務は免除されないことになります。
また、「消費税課税事業者選択届出書」の効力は、2年又は3年間は効力が継続することとなります。
そのため、効力のなくなる年又は期の末までに「消費税課税事業者選択不適用届出書」を税務署長に提出し、「消費税課税事業者選択届出書」の効力をなくしておきましょう。
(3)特定期間における課税売上高による納税義務の免除の特例
(1)により消費税の納税義務が免除される場合でも、特定期間における課税売上高及び給与等の金額が1000万円を超えている場合には、消費税の納税義務は免除されません。
特定期間とは
特定期間とは、個人事業者と会社では異なります。
個人事業者の場合は、前年の1月1日から6月30日までの期間
会社の場合は、前期の開始日から6か月の期間
の期間をいいます。
つまり、
個人事業の場合、その年の6月30日までの課税売上高と給与等の金額が1000万円を超えるときは、翌年は消費税の納税義務者となります。
会社の場合、当期の中間までの6か月間の課税売上高と給与等の金額が1000万円を超えるときは、翌期は消費税の納税義務者となります。
まとめ
参考になりましたでしょうか。
消費税の納税義務の判定は、その年の売上ではなく、前々年又は前々期、前年又は前々期などで判断をすることになります。
そのため、会社を設立するときなどには、決算日をいつにすべきかを検討することにより、納税義務者となる期間を遅らせることができます。
また、臨時の売上などにより、課税売上高が1000万円を超えたという場合などにも、翌々年又は翌々期は消費税の納税義務者となりますので、注意が必要です。
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