所得税の青色申告についてまとめました
青色申告ってよく聞いたり見たりするけど、分からない方、何となくわかった気でいる方が多いと思います。
法令等を使って、まとめました。今回は、所得税についてまとめております。
ご興味がございましたら、最後までご覧ください。
青色申告の特典とは
青色申告書を提出することで、以下の特典を受けることができます。
(1)専従者給与
専従者の給与は原則として、全額必要経費にすることができます。
(2)現金主義
前々年分の不動産所得の金額及び事業所得の金額の合計額(※)が300万円以下である方は、現金主義により所得計算をすることができます。
(※)専従者給与の規定を適用しないで計算した金額で判定します。
(3)損失の繰越控除
利益を計算して損失となった場合に、その損失を3年間繰り越すことができます。
(4)損失の繰戻還付
前年分の所得に対する税金から還付を受けることができます。
(5)青色申告特別控除
所得を計算する際、最高65万円を差し引くことができます。
(6)特別償却・特別控除
租税特別措置法によって、特別償却や特別償却を適用することができます。
(7)更正の制限
税務調査において、帳簿の調査に基づかない更正を受けることがありません。
(8)推計課税
推計による課税による更正・決定を受けることはありません。
(9)その他
その他にも、引当金や準備金などで、青色申告の場合のみ認められる制度がございます。
青色申告かどうかどこで分かる?
あなたが、青色申告をしているかどうかは、申告書第一表の上部で確認することができます。
青色申告の対象となる人
青色申告書を提出できる人は、
◆ 不動産所得
◆ 事業所得
◆ 山林所得
がある人です。
ただし、不動産所得については、事業的規模の基準をクリアしなければなりません。
第百四十三条 不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき業務を行なう居住者は、納税地の所轄税務署長の承認を受けた場合には、確定申告書及び当該申告書に係る修正申告書を青色の申告書により提出することができる。
ー所得税法より引用ー
青色申告書を提出するには
青色申告書を提出するには、税務署から承認を受けなければいけません。
税務署から青色申告書を提出することについて、承認を受けるためには、
(1)「所得税の青色申告承認申請書」を提出する。
書類については、税務署に問い合わせるか、国税庁のサイトから入手して下さい。
いつまでに提出するかが、重要です。
➀ 原則
青色申告の承認を受けようとする年の3月15日
② 新規開業の場合(1月16日以降に開業した場合)
業務を開始した日から2か月以内
➂ 相続の場合
死亡した日が、1月1日から8月31日:死亡した日から4か月以内
死亡した日が、9月1日から10月31日:死亡した年の12月31日
死亡した日が、11月1日から12月31日:死亡した年の翌年の2月15日
(2)税務署から承認の有無の通知が来る
(※承認の場合には、通知が来ない場合が多いです)
期限までに通知が来ない場合には、承認されたとみなされます。
承認されたとみなされる期限は、
➀ 原則
青色承認を受けようとする年の12月31日
② その年の11月1日以降に開業した場合
その年の翌年2月15日
となります。
第百四十四条 その年分以後の各年分の所得税につき前条の承認を受けようとする居住者は、その年三月十五日まで(その年一月十六日以後新たに同条に規定する業務を開始した場合には、その業務を開始した日から二月以内)に、当該業務に係る所得の種類その他財務省令で定める事項を記載した申請書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
(青色申告の承認等の通知)
第百四十六条 税務署長は、第百四十四条(青色申告の承認の申請)の申請書の提出があつた場合において、その申請につき承認又は却下の処分をするときは、その申請をした居住者に対し、書面によりその旨を通知する。
(青色申告の承認があつたものとみなす場合)
第百四十七条 第百四十四条(青色申告の承認の申請)の申請書の提出があつた場合において、その年分以後の各年分の所得税につき第百四十三条(青色申告)の承認を受けようとする年の十二月三十一日(その年十一月一日以後新たに同条に規定する業務を開始した場合には、その年の翌年二月十五日)までにその申請につき承認又は却下の処分がなかつたときは、その日においてその承認があつたものとみなす。
ー所得税法より引用ー
青色申告書の備付帳簿
(1)原則
貸借対照表と損益計算書が作成することができるような正規の簿記の原則に基づく帳簿
仕訳帳や総勘定元帳、固定資産台帳など
(2)簡易帳簿の場合
現金出納帳、売掛金、買掛金、経費明細書、固定資産台帳など
(3)現金主義の場合
現金出納帳や固定資産台帳など
第百四十八条 第百四十三条(青色申告)の承認を受けている居住者は、財務省令で定めるところにより、同条に規定する業務につき帳簿書類を備え付けてこれに不動産所得の金額、事業所得の金額及び山林所得の金額に係る取引を記録し、かつ、当該帳簿書類を保存しなければならない。
2 納税地の所轄税務署長は、必要があると認めるときは、第百四十三条の承認を受けている居住者に対し、その者の同条に規定する業務に係る帳簿書類について必要な指示をすることができる。
ー所得税法より引用ー
第五十六条 青色申告者は、法第百四十八条第一項(青色申告者の帳簿書類)の規定により、その不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき業務につき備え付ける帳簿書類については、次条から第六十四条まで(青色申告者の帳簿書類の備付け等)に定めるところによらなければならない。ただし、当該帳簿書類については、次条から第五十九条まで(青色申告者の帳簿書類)、第六十一条(貸借対照表及び損益計算書)及び第六十四条(帳簿書類の記載事項等の省略又は変更)の規定に定めるところに代えて、財務大臣の定める簡易な記録の方法及び記載事項によることができる。
2 法第六十七条(小規模事業者の収入及び費用の帰属時期)の規定の適用を受ける青色申告者は、前項の規定にかかわらず、第六十条(決算)の規定による棚卸資産の棚卸を行うことを要しない。
3 財務大臣は、第一項ただし書の定めをしたときは、これを告示する。
(取引の記録等)
第五十七条 青色申告者は、青色申告書を提出することができる年分の不動産所得の金額、事業所得の金額及び山林所得の金額が正確に計算できるように次の各号に掲げる資産、負債及び資本に影響を及ぼす一切の取引(以下この節において「取引」という。)を正規の簿記の原則に従い、整然と、かつ、明りように記録し、その記録に基づき、貸借対照表及び損益計算書を作成しなければならない。
一 不動産所得については、その不動産所得を生ずべき法第二十六条第一項(不動産所得)に規定する不動産等の貸付けに係る資産、負債及び資本
二 事業所得については、その事業所得を生ずべき事業に係る資産、負債及び資本
三 山林所得については、その山林所得を生ずべき業務に係る資産、負債及び資本
2 青色申告者は、取引のうち事業所得、不動産所得及び山林所得に係る総収入金額又は必要経費に算入されない収入又は支出を含むものについては、そのつどその総収入金額又は必要経費に算入されない部分の金額を除いて記録しなければならない。ただし、そのつど区分整理し難いものは年末において、一括して区分整理することができる。
(取引に関する帳簿及び記載事項)
第五十八条 青色申告者は、すべての取引を借方及び貸方に仕訳する帳簿(次条において「仕訳帳」という。)、すべての取引を勘定科目の種類別に分類して整理計算する帳簿(次条において「総勘定元帳」という。)その他必要な帳簿を備え、財務大臣の定める取引に関する事項を記載しなければならない。
2 財務大臣は、前項の定めをしたときは、これを告示する。
(仕訳帳及び総勘定元帳の記載方法)
第五十九条 青色申告者は、仕訳帳には、取引の発生順に、取引の年月日、内容、勘定科目及び金額を記載しなければならない。
2 青色申告者は、総勘定元帳には、その勘定ごとに、記載の年月日、相手方の勘定科目及び金額を記載しなければならない。
(決算)
第六十条 青色申告者(法第百二十五条第一項から第三項まで(年の中途で死亡した場合の確定申告)の規定の適用がある場合には、同条第一項の規定による申告書を提出すべき者又は同条第二項若しくは第三項の規定による申告書を提出することができる者)は、毎年十二月三十一日(同条又は法第百二十七条(年の中途で出国をする場合の確定申告)の規定の適用がある場合には、青色申告者の死亡の日又は出国の時。次条において同じ。)において棚卸資産の棚卸しその他決算のために必要な事項の整理を行い、その事績を明瞭に記録しなければならない。
2 その年において新たに青色申告者となつた者は、その年一月一日(年の中途において新たに不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき業務を開始した場合には、当該業務を開始した日)において、棚卸資産(事業所得の基因となる有価証券を含む。以下この条において同じ。)の棚卸し及び諸勘定科目についての必要な整理を行い、その事績を明瞭に記録しなければならない。
3 前二項に規定する棚卸しを行う場合には、棚卸表を作成し、棚卸資産の種類、品質、型等の異なるごとに、数量、単価及び金額を記載しなければならない。この場合において、棚卸資産に付すべき単価は、令第九十九条(棚卸資産の評価の方法)に規定する評価の方法若しくは令第九十九条の二(棚卸資産の特別な評価の方法)の規定により税務署長の承認を受けた評価の方法又は令第百五条(有価証券の評価の方法)に規定する評価の方法のうちその青色申告者が選定した方法(令第百一条(棚卸資産の評価の方法の変更手続)又は第百七条(有価証券の評価の方法の変更手続)の規定により評価の方法の変更につき税務署長の承認を受けた場合には、その承認を受けた方法とし、令第百二条第一項(棚卸資産の法定評価方法)又は第百八条第一項(有価証券の法定評価方法)の規定の適用を受ける青色申告者については、これらの規定によりその者が用いるべきものとして定められた方法とする。)により計算した価額を記載するものとする。
(貸借対照表及び損益計算書)
第六十一条 前条第一項に規定する青色申告者は、毎年十二月三十一日において、財務大臣の定める科目に従い、貸借対照表及び損益計算書を作成しなければならない。
2 財務大臣は、前項の定めをしたときは、これを告示する。
(親族の労務に従事した期間等の記帳)
第六十二条 税務署長が必要があると認める場合には、青色申告者でその者と生計を一にする親族に給与の支払をする者に対し、帳簿を備え、その親族の労務に従事した期間、労務の性質その他その労務の事績を明らかにする事項の記載を命ずることができる。
(帳簿書類の記載事項等の省略又は変更)
第六十四条 青色申告者は、その業種、業態、規模等により、第五十八条から第六十二条まで(青色申告者の帳簿書類等)の規定により難いときは、納税地の所轄税務署長の承認を受け、これらの規定に規定する記載事項の一部を省略し又は変更することができる。
ー所得税法施行規則より引用ー
帳簿書類の保存
青色申告者は、帳簿や書類を一定期間保存しなければなりません。
帳簿や書類の保存期間は、以下の通りです。
(1)帳簿・決算書類・・・7年
(2)現金預金取引等関係書類・・・7年
(3)その他の書類・・・5年
第六十三条 第六十条第一項(決算)に規定する青色申告者は、次に掲げる帳簿及び書類を整理し、起算日から七年間(第三号に掲げる書類のうち、現金預金取引等関係書類に該当する書類以外のものにあつては、五年間)、これをその者の住所地若しくは居所地又はその営む事業に係る事務所、事業所その他これらに準ずるものの所在地に保存しなければならない。
一 第五十八条(取引に関する帳簿及び記載事項)に規定する帳簿並びに当該青色申告者の資産、負債及び資本に影響を及ぼす一切の取引に関して作成されたその他の帳簿
二 棚卸表、貸借対照表及び損益計算書並びに計算、整理又は決算に関して作成されたその他の書類
三 取引に関して相手方から受け取つた注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類及び自己の作成したこれらの書類でその写しのあるものはその写し
2 前項の青色申告者で、その年三月十五日における前々年分の不動産所得の金額及び事業所得の金額の合計額(令第百九十五条第一号(小規模事業者の要件)に規定する合計額をいい、法第百二十五条第一項から第三項まで(年の中途で死亡した場合の確定申告)の規定の適用がある場合には、これらの規定に規定する居住者に係る当該合計額とする。)が同号に規定する金額以下であるものは、前項の規定にかかわらず、その年において作成し、又は受領した同項第三号に掲げる書類については、起算日から五年間を超えて保存することを要しない。
3 第一項に規定する現金預金取引等関係書類とは、同項第三号に掲げる書類のうち、現金の収受若しくは払出し又は預貯金の預入若しくは引出しに際して作成されたもの及び帳簿に第五十八条第一項に規定する取引に関する事項を個別に記載することに代えて日々の合計金額の一括記載をした場合における当該一括記載に係る取引に関する事項を確認するための書類をいう。
4 第一項及び第二項に規定する起算日とは、帳簿についてはその閉鎖の日の属する年の翌年三月十五日の翌日をいい、書類についてはその作成又は受領の日の属する年の翌年三月十五日の翌日をいう。
5 第一項各号に掲げる帳簿及び書類のうち次の表の各号の上欄に掲げるものについての当該各号の中欄に掲げる期間における同項の規定による保存については、当該各号の下欄に掲げる方法によることができる。
一 第一項第三号に掲げる書類のうち国税庁長官が定めるもの | 前項に規定する起算日以後三年を経過した日から当該起算日以後五年を経過する日までの期間 | 財務大臣の定める方法 |
二 第一項各号に掲げる帳簿及び書類 | 前項に規定する起算日から五年を経過した日以後の期間 | 財務大臣の定める方法 |
6 国税庁長官は、前項の表の第一号の規定により書類を定めたときは、これを告示する。
7 財務大臣は、第五項の表の各号の規定により方法を定めたときは、これを告示する。
ー所得税法施行規則より引用ー
青色申告書の添付書類
青色申告書には、次の書類を添付しなければいけません。
(1)貸借対照表
(2)損益計算書
(3)不動産所得の金額、事業所得の金額または山林所得の金額の計算に関する明細書
(4)純損失の金額の計算に関する明細書
第百四十九条 青色申告書には、財務省令で定めるところにより、貸借対照表、損益計算書その他不動産所得の金額、事業所得の金額若しくは山林所得の金額又は純損失の金額の計算に関する明細書を添附しなければならない。
ー所得税法より引用ー
第六十五条 法第百四十九条(青色申告書に添付すべき書類)の規定により青色申告書に添付すべき書類は、次の各号に掲げるもの(当該各号に掲げるものが電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他の人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下この項において同じ。)で作成され、又は当該各号に掲げるものの作成に代えて当該各号に掲げるものに記載すべき情報を記録した電磁的記録の作成がされている場合には、これらの電磁的記録に記録された情報の内容を記載した書類)とする。
一 貸借対照表及び損益計算書
二 不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算に関する明細書(事業所得の金額のうちに変動所得の金額又は臨時所得の金額がある場合には、当該変動所得の金額又は臨時所得の金額とその他の事業所得の金額とに区分し、不動産所得の金額のうちに臨時所得の金額がある場合には、当該臨時所得の金額とその他の不動産所得の金額とに区分した明細書)
三 純損失の金額の計算に関する明細書
2 第五十六条第一項ただし書(青色申告者の備え付けるべき帳簿書類)の規定の適用を受ける青色申告者は、前項の規定にかかわらず、貸借対照表を青色申告書に添付することを要しない。
ー所得税法施行規則より引用ー
まとめ
参考になりましたでしょうか。
青色申告をすることにより、税金計算を行う上でのメリットのほか、きちんと帳簿をつけることで、事業の成果を明確にでき、予算や計画を立てる際にも役立ちます。
事業を発展させるために、青色申告で帳簿を作成することをおすすめします。
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